コロナウィルスの感染拡大が少し下火になって緊急事態宣言が解除されたので、観光地にも人が戻ってきたという。それでもまだまだ人混みを避けたり、狭い空間での集会を避けたり、気をつけることはたくさんありそうだ。
しかしまぁ、気のおけない友人と広い自然の中で遊ぶことはできそうだ。久しぶりに甲斐駒ヶ岳の麓から友人夫婦がやってきた。賑やかな夕餉を楽しみ、翌日はさて、どこへ行こうか。話は盛り上がるが決まらない。今日は夏日と言われるくらい気温が上がりそうだが、空気が重くぼんやりしているので見晴らしはよくないみたいだ。ブナの森の空気を吸ってこようと、鍋倉高原に行くことにした。ちょうど2週間前に行ったが、雪が多かった。あの時はまだ蕾ばかりだったオオイワカガミが、そろそろたくさん咲いているのじゃないかという楽しみもある。
友人の大きな車に乗って出発。運転はタノちゃん。飯山線の隣を走って関田峠に向かって登るのは先日と同じコース。今日は道路が開通しているので、一気に茶屋池まで車で登る。道路脇には、タニウツギが淡い桃色のグラデーションを描いて続いている。登るにつれ花開く前の濃いピンク色が多くなってくる。季節が山を登っているのが目に見える。
茶屋池のほとりに車を置いて、森林散策へ出発。ブナの緑は一段と濃くなって、白っぽい幹とのコントラストが美しい。4人でおしゃべりをしながら茶屋池めぐりのコースを進む。ユキツバキの赤、ムシカリの白が爽やかだ。
しばらく進むと、あった。オオイワカガミは薄いピンクの花を掲げている。白に近いものも多い。先日はもっと濃いピンクだったけれど・・・。濃いピンクのものは早く咲き、薄い色のものほど遅く咲くのかなぁ。たくさん咲いている花を楽しみながら、稜線への分岐に到着。稜線に向かって登る。
太い枝を跨いだりくぐったりして、高層湿原に登りつく。湿原というには乾きすぎて、一面茶色の広がりになり、周辺は木が横になって茂る藪になっている。「この間まで池になっていたのに、あっという間に乾いたね」「この辺一面が雪で、木が埋もれていたよ」「雪が溶けてもこんなに木が横になっているよ」などと話しながら、ここでおやつタイム。座り心地の良いところを探していた夫は「ここがいい」と、木の腰掛け。でも・・・ちょっと遠いでしょう。
おやつの匂いにつられてきたと言いたいけれど、その前からずっと小さな羽虫にまとわりつかれていた。チクンと刺されると痛い。払えば逃げるがすぐ寄ってくるうえに数が多い。強い痛みや、激しい痒みはないが、数が多いのでうるさい。
さて、おやつを食べて元気を出し、藪の中を進む。道を探しながら、木をくぐりながら進む。ようやく稜線に着くと、落ち葉の積もった歩きやすい道になる。羽虫だけは相変わらず一緒についてきたけれど・・・。
稜線は気温が上がりやすいのか、ツクバネソウがここでは咲いている。しばらくは雪と風の造形と言えそうなブナ林を楽しみながら歩く。太い枝が曲線を描いていたり、真横に寝ていたり、ブナにとっては災難だろうが、眺めるには面白い。
筒方峠の標識が立っている辺りまでくると、小さな池がある。池にはクロサンショウウオの卵が一面にと言っていいくらいに沈んでいる。時々ボチャンと音がするので、見るとモリアオガエルの卵が木からぶら下がっている。今にも落ちそうなものや、枝から池に繋がっているものもある。
ここまでくると新潟方面の視界が開けるのだが、今日は霞んでいる。この先は黒倉岳への登り道。少し登ってみたが、山頂に行っても展望がきかないだろうから、戻ることにした。
登ってきたヤブ道ではなく、もう一つ奥の道からブナの広場に降り、茶屋池コースに戻った。コースとの分岐点は広いブナの森、大木が並んで美しい。木のベンチもあっていい感じ。「ここでおにぎり食べようか」と言っている間にも、羽虫がぶんぶん寄ってくる。「わぁー、ここもダメだ」。
逃げるように茶屋池へ向かう。途中少しだけ残っている雪の上を歩いたり、茶屋池のコバルトブルーを見下ろしたりしながら、池のほとりに降りた。相変わらず羽虫はいたけれど、うるさいほどではないので、ここでおにぎりを食べる。食べながらキミちゃんが「フキが美味しそう」とニコニコ。疲れているのに、早速フキ摘みに立ち上がる。
おかしいなぁ、キミちゃんが一番足弱のはずなのに・・・。タノちゃんも、夫と私も、シートに座っておやつを食べながら、キミちゃんの夜のおかずを思い描いている。
思惑通り、フキのゴマ油炒め、美味しかった!