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バイカオウレン 国営アルプスあづみの公園 890m(長野県)

2025年4月19日(土)


photo1バイカオウレン
水辺に咲く

自然の風景の中に咲くバイカオウレンを見たかった。奈良県に有名な群生地があると聞き、出かけようと意気込んでいたが、花の時期にうまく都合がつかず今年は諦めた。夫が調べてくれて公園ではあるけれど自然の風情を大切にしている国営公園に咲くということを知った。

花の季節はもう少し後かと思っていてふと気がついたらそろそろ終わりらしい。それもそうだ、2月頃には満開になる地域が多い花なのだから。

photo2水飛沫の中にバイカオウレン
水飛沫の中にバイカオウレン

思い立ってすぐ出かけた。我が家から安曇野まで車で約1時間半。国道19号線から大町街道に入っていく。前夜ちょっと大きな地震がありその震源地に近い小川村を通っていく。大きな被害が無さそうで安心した。長野市中条から小川村へ続く道沿いの山肌にはほのかな山桜がどこまでも散らばっている。その美しさを見ようとやってきた人たちが歩道を歩きながらカメラを構えている。山全体が柔らかな桜のヴェールに包まれたような景色はまさに桃源郷、だが、電線がその雰囲気を壊している。

photo3白く光る
白く光る

photo4せせらぎに沿って
せせらぎに沿って

私たちは霞に浮かぶ山々の桜もようを車の中から眺めて走る。大町市街を通り過ぎて山に向かって入っていくと広い駐車場があった。

駐車場の周りには水仙がたくさん咲いている。公園の中に入ると設えられた花園にチューリップが咲き始めている。その隣に青い花がちらほら見えるのはネモフィラという花。一面に咲くと青い広がりになるのが美しいと、最近時々話題になる。夫は「大きなオオイヌノフグリだ」と呟く。「花はオオイヌノフグリのほうが綺麗だよ」とは私の呟き。

photo5チューリップとネモフィラ
チューリップとネモフィラ

作られた花畑にはあまり魅力を感じないので先を急ぐ。公園そのものが作られていることは承知している。しかし広い自然の姿を大切に残しながら守っていく事業は必要だと思う。放っておくとみんな幽霊森になってしまう。私たちが自然との関わりをしないで生活するようになって自然はどんどん荒れている。今、幽霊森を元気な森に作り替えようという試みは全国的にあるようだが一般的には地味な試みだろう。

木の花が咲き出した

photoアズマシャクナゲ
アズマシャクナゲ

photoクロモジ
クロモジ

photo2ミツマタ
ミツマタ

photoミツバツツジ
ミツバツツジ

さて、公園の中に自在に広がっている小道を進み、せせらぎの音に近づいていく。ミツバツツジの蕾が一斉に濃い紫色に膨らんでいるのが美しい。花はまだ数輪見えるだけだ。日のあたる斜面にはオキナグサが綺麗な暗紅色の花びらを俯けている。

花に会う

photoオキナグサ
オキナグサ

photoカタクリ
カタクリ

photoショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ

photoワサビ
ワサビ

せせらぎに近づきながら濡れた岩肌に目を走らせると、見えた。バイカオウレン。水飛沫を浴びるような清流のほとりに品の良い5枚の葉を開いてすっくと立っている。やはり少し遅かったみたいだ。白い花びらの中心には種が膨らみ始めている。花びらを散らしてしまったものも多い。

photo8散り始めたバイカオウレン
散り始めたバイカオウレン

photo9実が育ってきたバイカオウレン
実が育ってきたバイカオウレン

それでもようやく会えた感動に頬が緩みっぱなしだ。近くにはショウジョウバカマの優しいピンク色も散らばっている。岩を覆う苔のような緑の中に一際鮮やかに艶やかにバイカオウレンの緑が光る。だいぶ散ってしまった白い花びら(実は萼だが)が岩の上に張り付いている。

photo10清流とバイカオウレン
清流とバイカオウレン

photo11沢辺の岩にバイカオウレン
沢辺の岩にバイカオウレン

勢いよく流れる水面を背景にすっくと立つバイカオウレンの花をしばらく眺めていたが、そろそろ散策しながら戻ろうか。清流の近くの大岩で記念撮影をして歩き出す。私たちより大きな花崗岩の岩は目の前の乳川(ちかわ)が運んだというから、水の勢いの激しさを目の当たりにする思いだ。

photo12乳川が運んだ花崗岩の大岩
乳川が運んだ花崗岩の大岩

photo13散策路がたくさんある
散策路がたくさんある

photo14ロードトレインが走っている
ロードトレインが走っている

まだ芽吹き前の森の中をゆっくり歩く。公園にはロードトレインが走っていてカラフルな車両は楽しそうだけれど、私たちは主要路を外れて小さな散策路を歩くことにする。森の中に広がるカタクリの花を眺めたり、清流に花咲くワサビを見つけたり、自然の中は飽きることがない。小さな黄色い花が咲いていたので近づくと「クロモジ」と名札が出ていた。近くの山でよく見るオオバクロモジとの違いを学ぶチャンスと写真を撮る。

photo15餓鬼岳をバックに
餓鬼岳をバックに

賑やかな声が響くアルプス広場と大草原の家は子供達も安心して遊べる施設になっているようだ。中には入らず、屋外のテラスまで登ってみる。ここからはまだ白い餓鬼岳の山頂が見えている。このままデッキを進むと高いところから見下ろす空中回廊が続いているが、やけに暑くなった今日は森の中の方が気持ちよさそうだ。地面に降りて、楓やコナラなどの林の中をゆるゆると歩いていく。

photo16ランチを食べて
ランチを食べて

これからさまざまな花が咲き、木々が芽吹き森は活気を帯びてくるのだろう。今日はまだ静かなのが私たちには嬉しい。入り口の近くにレストランがあったので、少し遅めのランチを食べてから帰ろうか。




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