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緑の桜に会う 臥竜山 471m(長野県)

2025年4月24日(木)


緑色の桜があると聞いて一度見てみたいものだと思っていた。長野市のお隣の須坂市には桜の名所臥竜公園がある。そこに緑の桜ギョイコウ(御衣黄)があると知って昨年見に行った。だが、この桜は開花が遅くソメイヨシノが葉桜になった頃に咲くという。昨年は用が重なり、蕾の時と2、3輪咲き出したのを見ただけだった。

photo1緑の桜ギョイコウ
緑の桜 ギョイコウ

自然のさまざまは一度見逃すと一年待たなくてはいけない。今年こそはと、時期を見計らって臥竜公園に行ってみることにした。

地図:臥竜山

2長野電鉄須坂駅で
長野電鉄須坂駅で

長野から短いけれど乗り鉄旅、須坂駅で降りて街の中をてくてく歩く。朝は寒いほどだったのに、あっという間に日差しは暑いくらいだ。歩く道々桜吹雪にあう。街中に植えられたソメイヨシノはすでに葉桜、残った花びらが風に舞う。

てくてく歩いて臥竜公園の入り口に着くと案外人がいる。車も多い。水面に浮かぶ花びらを見にきたのか、あるいは葉桜の美しさを愛でにきたのか・・・。私たちと同じ緑の桜を愛でにきた物好きもいるのか。

photo5水面に揺れる花びら
水面に揺れる花びら

竜ヶ池の周囲の桜はすでにかなり散っている。だが、白い花びら、赤い蕊、新緑の緑という美しい色のハーモニーと、今日の強い風に舞い散る花びらが優雅な風情を醸し出していてなかなか美しい。池の周囲の散策路には人の動きが多い。

私たちはギョイコウにまっしぐら、咲いている。淡い色の葉と一緒に薄緑色の花が枝いっぱいに広がっている。なんという花だろう。これでは花か葉かわからないではないか・・・などと頭の中で呟きながらその見慣れない美しさに息を呑む。近寄ってみると、緑の真ん中に星型に赤いラインが浮いている花もある。同じ枝に緑一色のものと赤いラインのものがあるのはなぜかなと思いながら近くの枝を見ていくが、もちろん皆同じ様子だ。

ほのかに色が変化するギョイコウ

photoギョイコウ

photoギョイコウ

photoギョイコウ

photoギョイコウ

後でわかったのだが、この花は緑から黄色っぽく変わっていき、最後に赤い筋が入るのだそうだ。最後になって艶やかに朱を纏うとは、なんとも粋な花だ。

photo4緑の桜とアルプス
緑の桜とアルプス

しばらくギョイコウのそばをうろうろしていた。花の向こうにアルプスが白く見えているのも嬉しい。花を見、アルプスを眺め、いつまででもそこにいたい気分だ。

ギョイコウの近くには薄黄色、薄緑色の桜が数種類あって、どれも満開だった。ウコン、スマウラフゲンゾウ、そして須坂で発見されたというソノサトキザクラ、ソノサトリョクリュウの2種。八重の花びら一枚一枚がほのかに緑、黄色、薄い赤と重なり合ってなんとも言えぬ姿だ。いいね、満開だねとあまり意味のない言葉を交わしながらしばらく花の下を楽しんだ。

photo6スマウラフゲンゾウ 満開
スマウラフゲンゾウ 満開

photo7ソノサトキザクラ
ソノサトキザクラ

photo8ソノサトリョクリュウ
ソノサトリョクリュウ

photo9ウコン満開
ウコン満開

さて花見も満喫したことだし、お山に登ってアルプスの展望を楽しんでこようか。竜ヶ池から臥竜山に登るコースはいくつもある。ゆったり広い散策路を歩き始めたが、山道の端に咲くスミレにつられて山道に入る。ヒメアオキの花が赤紫色にツンツン立っている下には淡いタチツボスミレの花が続く。山頂近くなると、真っ白に連なるアルプスが眩しいくらいだ。アルプスの撮影を夫に任せて私は中腹の周遊路にまわってみることにした。何度も来ているけれど一度も歩いたことがないコース、ぐるりと回って行く途中から山頂へ戻ることにする。ナルコユリの蕾が小さく、小さく膨らみ始めている。

登山道脇に咲く

photo1センボンヤリ
センボンヤリ

photo1アカフタチツボスミレ
アカフタチツボスミレ

photo1シュンラン
シュンラン

photo1シナノタンポポ
シナノタンポポ

山頂までジグザグに登る。周遊路をちょっと歩いただけなのに、少しずつ降りていたのかな。山頂で夫と合流、二人でゆっくりアルプスから飯縄山、妙高山まで続く山並みを楽しむ。

photo11アルプスの見える臥竜山山頂
アルプスの見える臥竜山山頂

photo12飯縄山
飯縄山

山を眺めているとお昼時間を知らせる音楽が流れてきた。ここは須坂市だけれど、長野市と同じ音楽だ。山頂は風が強くじっとしていると寒いくらいだったので、ちょっと南に歩き、四阿で軽いお昼を食べよう。

南竜と名付けられた四阿は森の中の隠れ屋みたいなところにある。小広い空間の端にある東屋に座っていると陽だまりに蝶が飛び交っているのが見える。2頭で絡まり合って高く登って行ったり、地面にふっと止まって日向ぼっこをしたり。

photo13ミツバツツジも満開
ミツバツツジも満開

近くにはミツバツツジが綺麗な濃いピンク色を広げている。持ってきたパンを食べた後はゆっくり新緑を楽しみながら竜ヶ池に戻ろう。池のほとりでもう一度桜を眺めてから帰ろう。公園の入り口近くに咲くセンダイヨシノはまだ花が濃く、今日の風に煽られて見事な桜吹雪だ。

photo14センダイヨシノ
センダイヨシノ

photo15桜の名残り竜ヶ池,ヤマザクラ
桜の名残り竜ヶ池

photo16千曲川原の桃(村山橋から)
千曲川原の桃(村山橋から)

思わぬ桜吹雪の中に立つ楽しみをしばらく楽しんでから駅に向かった。長野電鉄に乗り、千曲川が近づくと桃色の世界が窓外を流れていく。千曲川沿いに広がる桃畑だ。私たちは花の季節だねと顔を見合わせた。




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