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イチリンソウに会う 頼朝山 644m(長野県)

2025年4月30日(水)


photo1郷路山の崖下
郷路山の崖下

頼朝山を一巡りして帰った。会いたかった花には会えなかった。その話をしていたら、夫が「行ってみたくなった」と言う。やっぱり宿題を残したままだとどこか落ち着かないのだろう。拡大した国土地理院の地図を二人で睨む。私も地形図を読むことには多少自信があるのだが、夫はもう少し深く読み込むようだ。今までに歩いた所には私が赤線を入れてある。会いたい花がどんな条件の場所に咲くかは私が伝える。夫は地図を見ながら「この辺りの地形が怪しいんじゃないか」と指差す。

photo2ヒョウタンボク(金銀木)
ヒョウタンボク(金銀木)

青空の下、出発だ。街の中の道は車が多いから観音山の麓を回っていく。途中から郷路山の岩場の下を巻く。岩が崩れ落ちたような急な崖が続いているが、ほとんど人も通らないのだろう、カキドオシやオドリコソウが一面に茂っている。今年はいつまでも寒いと思っていたらあっという間に花が綻んできた。ヒョウタンボクの花がすでに黄色い色になって金銀木の別名に相応しい姿を見せている。見上げればオニグルミの雌花が赤く空に映える。雄花はまだ短く揺れている。

photo3オニグルミ
オニグルミ

斜面にはホタルカズラが今日もいっぱい咲いている。境沢から登り始めるが、水辺にネコノメソウの群落がいくつか見える。近づくとすでに実がついているが、まさに猫の目のようだ。誰が名づけたか、猫の目がいっぱいで面白い。

photo5ネコノメソウ実
ネコノメソウ実

次から次へ咲く花たち

photoイカリソウ
イカリソウ

photoチゴユリ
アマドコロ

photoチゴユリ
チゴユリ

photoシャガ
シャガ

ムラサキケマンやクサノオウ、オドリコソウなどが揺れる中を登っていく。ヤマブキも満開だ。ふと足元を見るとチャンチンの落果が花のようにこぼれている。見上げると高いところにピンクの新芽が揺れている。

photoチャンチン新芽と落果
チャンチン新芽と落果

フデリンドウが大きな株にたくさん花をつけている。私たちは山道をそれては藪の中を歩いてみる。芽吹いてきた灌木の下に隠れるように咲くジュウニヒトエを見つけた。名前に似合わない地味な色彩の花だが、出会うと嬉しい。道端に広がるチゴユリの群落も咲き出した。花々を見ながら進んでいく。

ジュウニヒトエ

photoジュウニヒトエ

photoジュウニヒトエ

photoジュウニヒトエ

photoジュウニヒトエ


photo7ワサビの花
ワサビの花はそろそろ終わり

気になっている森にも踏み込んでみる。落ち葉が積もった斜面を降りていくとワサビがたくさん出ている。白い花はそろそろ終わりだが、かなり広い範囲にみずみずしい艶のある葉を広げている。だが、目指す花はないので山頂へ行ってみよう。たった数日の間にヤマツツジがずいぶん咲いてきた。山頂から目の前の旭山、その裾を流れる裾花川、市街地の向こうに見える山々を眺める。

裾花川の辺りにたくさんの人が集まっているのが小さく見えるが、あれはハヤブサの観察に集まった人だろう。ハヤブサは毎年対岸の急峻な崖に営巣する。私たちは高みの見物とニヤリ。でも、人は見えるけれど、ハヤブサは見えないなぁ。

photo10旭山の崖と探鳥の人たち
旭山の崖と探鳥の人たち

山頂でのんびりおやつを食べながら、さて次はどこを歩こうか、地図を広げる。もうかなりの範囲を歩いているから、少しだけその範囲を広げてみようかと腰を上げる。夫がこの辺りと言ったところを歩くことにする。

photo9頼朝山山頂で,フデリンドウ,ホタルカズラ
頼朝山山頂で

森の中の道を歩いてあっちを見、こっちを覗きしながら行くと、「あ、いたよ」思わず大きな声が出る。

photo11ついに会えたイチリンソウ
ついに会えたイチリンソウ

イチリンソウが咲いている。真上から差し込む太陽の光を浴びて純白の花が光っている。すごい、とうとう会えた。何年越しの宿題だったろう(※)、イチリンソウに会いたいという思いは。花が大きく、真っ白なのでとても目立つ花。でもこの白い花弁状のものは萼なのだそうだ。羽状に深く切れ込んだ葉は濃い緑で清々しい。

photo12清楚なイチリンソウ
清楚なイチリンソウ

私たちはもちろんイチリンソウを撮影したが、真っ直ぐさしてくる太陽光と絶え間ない強風で色は飛ぶ、ピントはブレる・・・なかなか思うような写真は撮れなかった。だが、写真が目的なのではない。花に会えたことが嬉しい。

photo13日差しを浴びて咲くイチリンソウ
日差しを浴びて咲くイチリンソウ

photo14ツルネコノメソウ
ツルネコノメソウ

しばらくイチリンソウと対話して帰ることにした。近くの沢にはネコノメソウがまたもや猫の目を光らせている。でもこのネコノメは登山口で見たものとはちょっと違うようだ。葉が互生のこれはツルネコノメソウだろう。目立たないネコノメソウの仲間が好きな私は大喜び。そして、そのそばには蛇くんが遊んでいた。それほど大きくはないが赤い模様がはっきりしているヤマカガシ。びっくりしてどんどん逃げていくので写真がうまく撮れなかった。蛇くんおどかしてごめんねと言いながら登山道に戻る。

帰り道は疲れて足が重くなることも多いが、今日は元気100倍、「祝杯だ」と言い交わしながら家に向かった。

photo15沢歩きは,ヤマカガシ
沢歩きは面白いけれど

森が華やかになる

photoコバノガマズミ
コバノガマズミ

photoヤマツツジ
ヤマツツジ

photoヤマブキ
ヤマブキ

photoヒメアオキ
ヒメアオキ





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