しばらく地附山にご無沙汰し、久しぶりに歩いてきたら、今度は毎日でも行きたくなってしまった。と言っても、それなりに用もある。昨日は夫に用があり一人で出かけたが、今日は私が午後出かけなければならない。せっかく青空が広がっているから勿体無いと、午前中だけでも楽しんでくることができる地附山へ向かう。
午後の会議に間に合うように、今日は車で公園まで登る。久しぶりの公園からの山歩き、まだ八重桜が満開で見応えがあった。しばらく八重桜の木の下で花を見上げてから歩き出す。
私たちは粘菌がないかしらと、あっちを見たりこっちをのぞいたりしながらのらりくらり歩いていく。
道端のギンランの花はそっと背を伸ばして落ち葉に隠れるように咲いている。目立たない花だけれど、名前のせいか盗掘も多い花らしい。あまり群落は作らず山の中にぽつりぽつりと咲いていることが多い花だ。ずっとここに咲いていてねと呟きながら通る。そういえば先日見つけられなかったベニバナイチヤクソウの蕾、一本だけみつることができた。葉は広がっているから、このまま元気に自生してほしいと思う。南の方の山では満開だったフデリンドウはまだ硬い蕾だ。地附山にはわずかしか見られないから大切にしたい。
先日咲いていたシデザクラの下に立つと、まだ咲いていた。細い花びらが光っていて優雅な感じだ。その周囲にはマルバアオダモの白い花が揺れている。同じ白でも大きなブラシのような形のウワミズザクラは少しずつ萎れてきた様子。可愛い実をつけるのが楽しみだ。
ウリカエデはすでにプロペラのような実を広げ始めている。山は確実に動いているんだなぁと感じる時だ。ウリカエデやウリハダカエデは雪解けと同時に咲き出してすでに実をつけているが、カラコギカエデはようやく花が綻び始めてきた。カエデの仲間でも独特な形の実をつけるが、花もぶら下がらずに固まって、伸びている雄しべがキラキラしている。そういえば葉を見ても手のひらのような形ではないので、カエデの仲間とは分かりにくいかもしれない。ウリカエデやウリハダカエデも同じことが言えるけれど。
隣にはオニグルミ、雌花の赤色が太陽に映え、太い雄花が長くぶら下がってきた。普段高いところに咲いているから真っ赤な雌花も見つかりにくいけれど、斜面に枝を伸ばしている木は少し登ると近くから花も見ることができるので、嬉しい。そういう私もオニグルミの雌花を見つけたのは最近のこと、山を歩く回数が増えるたびに自然の様々が近くなってくるような気がしているこの頃だ。
中腹を回る道からいくつかの古墳を通って山頂へ向かう。モミジイチゴの花がそろそろ終わりか。ショウジョウバカマの花穂がぐんぐん伸びて糸のような種を飛ばす準備をしている。数日前から薄黄色く色づいてきていたミツバツチグリの蕾がようやく、少し綻んできた。
チゴユリはどんどん花開いている。近年エリアを広げているようだ。どのコースを歩いていてもチゴユリを踏みそうになる。そんな緑の中にミヤマナルコユリが小さな蕾をぶら下げて仲間に入っている。
あっちをのぞいたり、こっちを見たりしながら山頂へ行くと、まだ白い妙高山が綺麗に見えている。先に登って楽しそうに話をしていた女性3人連れが「今日は素晴らしいお天気ですね」と話しかけてきた。飯縄山、黒姫山、妙高山を指差しながら今日の爽やかなお天気を喜び合う。今日がトレッキングの記念すべき初日だったそうで、これからも続けたいと笑顔。澄んだ青空、新緑が輝く今日は最高の日だねとうなずき合う。これから色々行ってみたい、花のこともまだあまり知らないと話が弾んだので、我が家のHPを伝えた。本格的な登山をしたい人には不満足かもしれないが、長野市近郊の初歩的な里山歩きなら少しは参考になるかもしれない。
山頂でくつろぐ女性たちを後にモウセンゴケの様子を見に行ってみた。小さな芽吹きの中にすでに花の穂がくるくると丸まって隠れている。光る葉の中には捕えられた虫の姿も見えて、自然界の奥深さを感じさせられる。
新緑の美しい森を見上げながらの帰り道、気持ちも足も軽い気がした。