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袴岳 1135mへ(新潟県、長野県)

2025年5月29日(木)


神奈川から友人がやってきた。山歩きと花が好きな友人、一緒に山の花を見に行くのを楽しみにしていた。どこへ行こうか。この季節はやっぱり袴岳でしょうと、翌朝出発。

豊田から斑尾山に向かって山へ入っていく。斑尾山の肩を通り過ぎて、赤池の駐車場に車を停める。靴を履き替えて出発だ。

photo1オオタチツボスミレ満開
オオタチツボスミレ満開

フキの花が揺れる中を登り始めるとオオタチツボスミレが群生している。見事な花を見ながらゆっくり登っていく。私と夫は何度か歩いている道だが、友人は初めてだからあちこちと目が泳ぐようだ。ホウチャクソウがツンツンと立つ足元にはチゴユリが広がり、コミヤマカタバミの葉が一面に広がっている。花はほぼ終わりのようだ。薄紫のオオタチツボスミレの中にところどころ小さなツボスミレも混ざっている。距が長いナガハシスミレも花はほぼ終わった様子、時々色褪せた花が残っている。

袴岳で会った花1

photoチゴユリ
チゴユリ

photホウチャクソウ
ホウチャクソウ

photoイワナシ実
イワナシ実

photoミツガシワ
ミツガシワ

カエルの声が賑やかになってくると袴池が近い。池の傍にはオオイワカガミの花がまだ咲いていた。イワナシはすでに実が膨らんでいる。水の中には白い塊がふわふわと沈んでいるのが見える。黒山椒魚の卵だ。そしてその奥に緑の葉が広がり、ところどころに純白の花穂が揺れている。ミツガシワが咲き出した。まだ花数は少ないが、遠くからでも美しい花穂の姿が鮮やかだ。

オオイワカガミ

photoオオイワカガミ

photオオイワカガミ

photoオオイワカガミ

photoオオイワカガミ

私たちは喜んで水の向こうを眺めながら袴池を回り込む。ちょっと高台から池を見下ろせるところに木のベンチがあったので、水分補給だ。足を休めながらそばにあった切り株に目が行くとオレンジ色の小さな粒々が見える。粘菌だ。マメホコリが活動を始めたようだ。

photo4粘菌マメホコリ
粘菌マメホコリ

マメホコリを観察してから、袴湿原に向かう。袴岳への登山口を通り越してその先にある袴湿原まで往復してこよう。沢沿いに行く道の脇にはやっぱりいた。サンカヨウがまだ純白の花を開いている。蕾が多いところもあれば、すでに花びらを散らしているところもあるが、道沿いにしばらくサンカヨウの花を楽しめる。

サンカヨウ

photoサンカヨウ

photサンカヨウ

photoサンカヨウ

photoサンカヨウ

草の中に小さなヤマエンゴサクの葉が見えるが、花はほとんど終わって実がついている。その脇にはまだコミヤマカタバミが濃いピンクの花を揺らしている。そして嬉しいことにシラネアオイも咲いている。

袴岳で会った花2

photoヤマエンゴサク
ヤマエンゴサク

photコミヤマカタバミ
コミヤマカタバミ

photoエンレイソウ
エンレイソウ

photoシラネアオイ
シラネアオイ

photo7乾いてきた袴湿原
乾いてきた袴湿原

花を数えるだけでウキウキしながら、私たちは賑やかに歩いている。乾き始めた袴湿原の木道を踏んでから袴岳登山口に戻る。

いよいよ袴岳目指して登る。傾斜が強いところもあるが、全体的には緩やかな山道が続く。何度かジグザグにカーブを曲がって高度を上げていくと、ホオノキやトチノキの大きな花が目の高さに見えてくる。ムシカリやミズキの小さな白い花の集まりも輝いている。

木に咲く花も賑やかに

photoイロハモミジ
イロハモミジ

photトチノキ
トチノキ

photoムシカリ
ムシカリ

photoナツグミ
ナツグミ

photo9マルバアオダモ
マルバアオダモ

photo10フキの花かわいい
フキの花かわいい

空には薄雲が広がっているが、時々日の光もさしてきて暖かい。天気予報は曇りのち雨というから、雨具も鞄に入っているが、ありがたいことに出番はないようだ。

友人が「あ、小さな花。踏まれそう」と指差す。ニシキゴロモが地面にくっつくように咲いている。近くに数株咲いているが、どの株も花が白い。葉も赤い筋がなく緑一色で、日本海側に咲くというシロバナニシキゴロモだろうか。

歩いていると所々にエンレイソウ、ツクバネソウの群落があり、フキの花も白い花穂を一面に伸ばしている。ホウチャクソウ、チゴユリがここにもたくさん咲いている。

ツクバネソウの群落

photoツクバネソウ

photツクバネソウ

photoツクバネソウ

photoツクバネソウ

photo13霞んでいるけれど
霞んでいるけれど

稜線から頸城平野が見下ろせるところがある。みんなで並んでしばらく遠くを眺める。近くの花ばかり見ている目をしばし休ませよう。今日は霞んでいるが、米山が綺麗な三角だ。あの山の向こうは日本海。友人は太平洋岸から来たから、嬉しそうだ。

以前この辺りで見つけたスミレを探すと、いたいた。濃い紫のスミレ。花の内側にちょっと毛があるが、花柄は無毛。「なんとかスミレじゃなくて、スミレだけなんだ」と、友人がおかしそうに呟く。近くにはフデリンドウも顔を見せている。

袴岳で会った花3

photoスミレ
スミレ

photキクザキイチゲ
キクザキイチゲ

photoコシノカンアオイ
コシノカンアオイ

photoフデリンドウ
フデリンドウ

そしてお楽しみのブナ林に入る。若緑の光が踊るようだ。空気も凛と輝くようで体が軽くなる気分だ。3人でちょっと賑やかに森の中を登っていく。

photo14清々しいブナの森
清々しいブナの森

photo15美しい森を行く
美しい森を行く

何回か降ってまた登り、沢筋を越えていく。降って沢を越えようというところに、そろそろ終わりのユキツバキがいっぱい赤い花をつけている木があった。道に散っている花が多かったのに、この木はまだいっぱいだねと言いながら見上げる。この辺りはちょっと日当たりが悪いのかな、季節が遅いのだろう。

キクザキイチゲもまだ咲いている。嬉しいね。近くにはコチャルメルソウも咲いている。魚の骨のような面白い形の花びらが光っている。小さな小さな宝石だ。

コチャルメルソウ

photoコチャルメルソウ

photコチャルメルソウ

photoコチャルメルソウ

photoコチャルメルソウ

みんなでしゃがんで小さな花を眺めていると、アケボノシュスランにそっくりな葉が立っている。これは何かな。アケボノシュスランにそっくりだけれど、秋に咲く花だから違うかな。後日談になるが、家に帰って調べたら、アケボノシュスランの実は春まで残り、小さなタネを飛ばすらしい。夫は花が咲く季節にまた行かなくちゃと笑った。

さて、花を見つけるたびに「わぁ〜小さい」だの「きゃ〜かわいい」だの言いながら、私たちはゆっくり登っていく。他にほとんど人がいないので、呑気だ。ヒメアオキの花は雌花、雄花がわかりやすいので、指差して「これは雄花。こっちは・・・、これも雄花」などと言いながら歩いていく。

木々の花

photoタムシバ
タムシバ

photヒメアオキ
ヒメアオキ

photoユキツバキ
ユキツバキ

photoタニウツギ
タニウツギ

ダケカンバの木が増え、森の向こうが明るくなると、山頂はそこ。あ〜残念、今日は妙高山が見えない。青く大きな裾の上に雲がドンとかぶさっている。私たちはおにぎりを頬張りながら雲を乗せた妙高を眺めている。雲は時々動いて山頂近くの雪渓が見えるが、なかなか全容は見せてくれない。

photo18ギフチョウも舞う袴岳山頂
ギフチョウも舞う袴岳山頂

妙高を眺めている私たちの周りを黄色い蝶がひらひら舞う。目の端に映った黄色い蝶は、ギフチョウだ。ギフチョウはヒラヒラと舞って森の中に消えていく。しばらく山頂のランチタイムを楽しんでから降ることにした。

photo19山頂で食べるおにぎり,シロバナニシキゴロモ
山頂で食べるおにぎりは最高

同じ道を歩くのはつまらないので、帰りは北に降りる道を行くことにする。コシノカンアオイの群落を見て行こう。カンアオイはギフチョウの食草だからこの辺りにはギフチョウが見られるのかな。

降っていく道の脇にはオオイワカガミやスミレが多いのが嬉しい。薄紫に広がるオオタチツボスミレ、白く小さなツボスミレは途切れることなく咲いている。そして、草原に降りるとサンカヨウの白い花が広がっている。草原を縁取る林はホオノキとトチノキ、それぞれ満開。歩く道の脇にはルイヨウボタンにルイヨウショウマ、そしてミヤマキケマン、なんだか花の中を泳いでいるようだ。

ルイヨウボタン群生
photoルイヨウボタン

袴岳で会った花4

photoオオバタネツケバナ
オオバタネツケバナ

photルイヨウショウマ
ルイヨウショウマ

photoツボスミレ
ツボスミレ

photoミヤマキケマン
ミヤマキケマン

小さなアズマシロカネソウにも会って、私たちは大喜び。赤池までの林道はタニウツギが咲き出して、彩りを添えてくれている。カエルの声に包まれてフキの花穂が揺れる中をてくてく歩いて、振り出しに戻る。

小さなアズマシロカネソウ

photoアズマシロカネソウ

photアズマシロカネソウ

photoアズマシロカネソウ

photoアズマシロカネソウ

赤池の駐車場に立っている大きな地図の看板を指差し、歩いてきた道をちょっぴり復習してから帰路についた。

photo23道の真ん中に大岩
道の真ん中に大岩

photo24スタート、ゴールは赤池
スタート、ゴールは赤池




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