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再び沼の原湿原 870mへ(新潟県、長野県)

2025年6月16日(月)


photo1ヒメヘビイチゴ
ヒメヘビイチゴ

雨あがりの湿原は土が濡れて光っている。沢の淵を歩き、水芭蕉の群生地の中を通って湿原の中央に向かっている。足元にはヒメヘビイチゴの黄色い花が道案内をするかのように続いている。前回来たのは6月5日、ミミナグサやオオケタネツケバナ、ハコベなど白い花が迎えてくれた。歩いていると小柄なコバイケイソウがすっくと立っている。純白の花が満開だがたった一本、ちょっと寂しそうだ。近くにはナルコユリの花が揺れている。一番下の花は開いているが、かわいそうに葉が柄の上あたりからちぎれるようになくなっている。見事に全部の葉がないのは、いったい誰に食べられたのだろう。ナルコユリとアマドコロは似ている。咲く時期はアマドコロが早いので、近くに両方ある時は見当がつけやすいが、どちらか一方しかない時はそっと茎に触ってみる。ツルッとしているのはナルコユリ。稜が立っているのはアマドコロだ。

photo2葉が食べられてしまったナルコユリ
葉が食べられてしまったナルコユリ

photo3ホウチャクソウは終盤
ホウチャクソウは終盤

もう一つ似ているのはホウチャクソウ。ホウチャクソウの花はナルコユリやアマドコロにそっくりだが、茎が分かれるので、見分けやすい。

水芭蕉の群落の中に敷かれた木道を行く。一面の水芭蕉もすでに白い苞はなくなって、大きくなった実がこれまた巨大化した葉の根本に立っている。水の流れは激しく、茶色に濁っている。昨日の豪雨を物語るようだ。ところどころにキンポウゲが群生している。ハナニガナも多い。どちらも黄色が華やかだが、キンポウゲの花は艶がある。

photo4キンポウゲが光る
キンポウゲが光る

さて、湿原から山際の道へ入っていくとさらに多くなったキンポウゲの道だ。タニウツギの桃色、ケナシヤブデマリの白が森の下部を彩っている。サワフタギの白も綺麗だ。

蝶のような白い花 ケナシヤブデマリ

photoケナシヤブデマリ

photoケナシヤブデマリ

photoケナシヤブデマリ

photoケナシヤブデマリ

photo6サワフタギとシロシタホタルガ幼虫
サワフタギとシロシタホタルガ幼虫

今日の目的のワニグチソウは咲いているかな。近づいていくと元気なワニグチソウが見える。期待を込めてさらに近づく。あれ、まだ開いていない。蕾が出てからすでに10日は経っている。時間がかかるんだね。二つの花が仲良く並んでぶら下がっている。開くのはいつかな。

photo7ワニグチソウ 膨らんだ蕾
ワニグチソウ 膨らんだ蕾

花は茎の下にぶら下がっているので、一つ一つのぞき込んでその膨らみ具合を見て歩く。ワニグチソウは一ヶ所に10数株が群生しているが、まだ小さな姿も多い。ただ道の上に広がっているので、草刈りの時に刈られてしまうのではないかと心配になる。

ワニグチソウ

photoワニグチソウ

photoワニグチソウ

photoワニグチソウ

photoワニグチソウ

沼の原湿原はいつも手入れされていて、木道も歩きやすくなっているが、草刈りの跡を見るとキンポウゲなども刈られている。ウバユリが残してあるのを見たから、大切なものは意識して残すようにされているのだろうと思うが・・・。願わくはワニグチソウの地味な目立たない姿も残してくれると良いのだが。

さて、今日は湿原に降りずにこのまま山の方へ行ってみよう。道に覆い被さるようにタニウツギやケナシヤブデマリ、そしてサワフタギとカマツカも咲いている。サワフタギとカマツカはどちらも白く、よく似ている。風に揺れているのはツリバナだ。花が白くて大きめのこれはオオツリバナかな。

木の花色々

photoタニウツギ
タニウツギ

photoカマツカ
カマツカ

photoクマイチゴ
クマイチゴ

photoレンゲツツジ
レンゲツツジ

photo10オオツリバナか
オオツリバナか

さまざまな花に会う

photoタニギキョウ
タニギキョウ

photoコバイケイソウ
コバイケイソウ

photoオククルマムグラ
オククルマムグラ

photoマムシグサ仲間
マムシグサ仲間

時々雲の間から日が差すと、大きな木の葉が光る。森の中が賑やかになる。大きな葉の付け根に小さな花を咲かせているのは、ツルウメモドキのようだ。雌雄異株なので、一つの木にはどちらかの花しか咲かない。見つけたのは雌花らしい。

photo11ツルウメモドキ雌花
ツルウメモドキ雌花

草に混ざるように見えているのは木苺の花。クマイチゴらしいが、そろそろ終わりか。小さなタニギキョウを見つけて喜んだり、オククルマムグラの花を見たりしながら、再び湿原の中に入っていく。

木道の脇も草が刈られ歩きやすい。アシだろうか、かなり茂ってきていることがわかる。ところどころに勢いよく流れる沢があるので、水は豊かなのだろうが、湿原一面を覆うような水の流れは少なくなったのだろうか。水際にはミズタビラコが咲き出している。そっくりなコシジタビラコとの違いは、実の形。もちろん他にもあるのだろうが、私に分かるのは実の違いだ。まだ咲き出したばかりだったが、下の方から咲いていく花の一番下部に一個実があった。

photo13ミズタビラコ
ミズタビラコ

ちょっと高台になっているところから湿原の見晴らしを楽しむ。持ってきた軽食を食べながら休憩。この季節はめぼしい花がないと思われているのか、誰もいない。

photo14沼の原湿原にて
沼の原湿原にて

photo15カキツバタ咲く湿原
カキツバタ咲く湿原

一面緑の中に広がるオレンジ色はレンゲツツジ、紫はカキツバタ。そして黄色はサワオグルマ。

雲の流れが早く、空一面白くなったり一気に真っ青になったり、目まぐるしく変わる。変わるのは空ばかりではない。前回一面に咲いていたミツガシワはすでに実になっている。

たくさんの変化の中、今日ここに立てることの幸せをしみじみ感じる。次に来る時はどんな姿を見せてくれるのか、楽しみを抱いてのんびり帰り道を行こう。

photo16湿原,サギスゲ,サワオグルマ
花ざかりの湿原




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