⬆︎Top 

584
やっと会えた花 寺小屋山 2125m(長野県)

2025年7月29日(水)


photo1東館山高山植物園
東館山高山植物園

蕾を見つけてから2週間、咲いているかな?ドキドキしながら山へ向かった。今日は空一面に薄雲がかかり、遠くの山はみんなぼんやり霞んでいる。だが天気予報は曇り。雨の予報は出ていない。

いつもの道を走り志賀高原に向かう。時々道端に猿が座り込んで何か食べている姿を見るのだが、夏休みに入ったこの季節は車も多いからか、猿も呑気に出てこないようだ。

それにしても連日暑い。毎日のようにこれまでの最高気温などというニュースが聞こえてくる。長野市には雨が降らないので、庭の植物はみんな息も絶え絶えだ。

地図:志賀高原中央部
志賀高原中央部

高山植物園は花盛り

photoハクサンオミナエシ
ハクサンオミナエシ

photoヨツバヒヨドリとアサギマダラ
ヨツバヒヨドリとアサギマダラ

photoイブキトラノオ
イブキトラノオ

photoタカネナデシコ
タカネナデシコ

photo3ニッコウキスゲはそろそろ終わり
ニッコウキスゲはそろそろ終わり

車を置いてゴンドラに乗り、一気に2000mの東館山高山植物園に着く。やはりここも夏休み、前回来た時より人が多い。ハクサンオミナエシの明るい黄色やハクサンフウロの明るいピンクが広がる植物園の道を通って寺小屋山のゲレンデ方面に向かう。前回きた時には咲き残っていたコバイケイソウが大きく実を膨らませて、今はバイケイソウが薄緑の花を開いている。斜面を一面オレンジ色に染めていたニッコウキスゲはぽつりぽつりと残るのみ。代わりにヤナギランの赤紫が穂を伸ばしてきた。先日聖高原でウスゲヤナギランという種を知った。ウスゲの葉には縁に欠刻状の小さい鋸歯があるというので、写真を撮ってみた。でもあんまりよくわからないなぁ。言われてみれば確かにギザギザしている気もするが。

ヤナギランとウスゲヤナギラン

photoヤナギラン花(志賀)
ヤナギラン花(志賀)

photo葉(志賀)
葉(志賀)

photoウスゲヤナギラン花(聖)
ウスゲヤナギラン花(聖)

photo葉(聖)
葉(聖)

広々としたゲレンデから花を探して森の中に入る。あ、白い花がポツポツと見える。咲いている。先日蕾を見つけたところに純白の花が小さく開いている。アリドオシランだ。なんと小さいのだろう。図鑑では5〜10㎝の草丈とあるが、ほとんど5cmくらいだ。花の長さは1㎝に満たない。7〜8㎜あるだろうかというところ。透き通るような純白で、前面に飛び出した唇弁が左右に大きく分かれている。ぐっと顔を近づけて覗き込んでいる私たちは遠くから見たら地面に顔を近づけて何をやっているかと思われるだろうなぁ。幸い、他に人は見当たらないけれど。

アリドオシラン

photoアリドオシラン

photoアリドオシラン

photoアリドオシラン

photoアリドオシラン

photo6小さいアリドオシラン
小さいアリドオシラン

蕾や、咲き終わりそうなのには何度か会っているが、こんなに綺麗に咲いている姿には初めて会った。そして近くにはコイチヨウランも咲き出している。こちらは少し後から追いかけるように咲くらしく、まだ蕾が多かった。地面に近いところに一枚の丸みを帯びた葉があって、そこからスッと花穂を伸ばしている。花穂は長くても8㎝くらいだろう。地面にくっつくように置かれた葉は暗い赤紫色で、あちこちにたくさん見える。葉があってもまだ花をつけないのも多いようだ。

コイチヨウラン

photoコイチヨウラン

photoコイチヨウラン

photoコイチヨウラン

photoコイチヨウラン

photo8紫色っぱいコイチヨウランの葉
紫色っぱいコイチヨウランの葉

探していた花に会えたので、登山道に進み、寺小屋山の山頂を踏んでこよう。途中いくつかのギンリョウソウが顔を出していたが、萼が透き通って幻想的だ。早朝まで雨が降っていたのだろうか。山道はぬかるんでいて、ところどころ水が溜まっている。滑らないように気をつけて寺小屋峰と書いてある山頂に到着。

photo9萼が透き通ったギンリョウソウ
萼が透き通ったギンリョウソウ

photo10ヤナギランが咲き始めた寺小屋峰
ヤナギランが咲き始めた寺小屋峰

目指していた花に会え、山頂を踏んで再びゲレンデに降りる。まだ蕾が多いヤナギランを見渡しながらおにぎりを食べよう。あいにく空は薄曇りだが、腰を下ろしてのんびりするにはちょうどいいかもしれない。ゲレンデの緑の中にはホソバノキソチドリがたくさん咲いている。花も草の葉と同じ色だから目立たないがたくさん散らばっている。テガタチドリはピンク色で目立つが、こちらはそろそろ終わりだ。オトギリソウやノコギリソウなど小型の花も、ヤマブキショウマのように大型の花も自在に咲いて、その周りを小さな蜂のような虫が飛び回っている。クワガタソウに似た花も見つけた。花穂が立っていないけれど、グンバイヅルかな。ミヤマニガイチゴやゴヨウイチゴなど木苺も何種類かあったが、ヨーロッパキイチゴというのはまだ白い花が残っていた。

photo11高原で食べるおにぎり最高
高原で食べるおにぎり最高

ゲレンデの真ん中でおにぎりを食べ、ゆっくりしてから「さて帰ろうか」。登る時にはあまり傾斜を感じなかったゲレンデだが、下り始めると結構急だった。ここを滑ったんだねぇと言いながらジグザグに歩く。笹林の下に大きな倒木があるから下の方を覗いてみたら、粘菌発見。

photo14粘菌ツノホコリ変形体
粘菌ツノホコリ変形体

周辺の草むらにはゴゼンタチバナの花はほぼ終わりだが、ベニバナイチヤクソウが咲き出している。ミヤマコウゾリナも真っ黒い蕾から綺麗な黄色がのぞいてきた。あまり目立たない花たちがどこまでも咲き広がっている。ヤマハハコが白く開いてきた。群落が咲き揃うと目を引くことだろう。

ベニバナイチヤクソウと仲間

photoベニバナイチヤクソウ

photoベニバナイチヤクソウ

photoコバノベニバナイチヤクソウ?
コバノベニバナイチヤクソウかな

photoベニバナイチヤクソウ
 

草原にひっそりと咲く

photo4ホソバノキソチドリ
ホソバノキソチドリ

photoグンバイヅル
グンバイヅル

photoネバリノギラン
ネバリノギラン

photoヤマハハコ
ヤマハハコ

高山植物園に戻り、ゴンドラ駅に向かう。クガイソウの花穂にヒョウモンチョウの仲間が集まっている。すごい人気だ。駅近くにはコマクサが咲き出していた。高山の岩場に凛と咲く花。ここは植栽だけれど、岩場のように作られた広がりに咲いている。芽吹きから花開くまで数年かかるというが、ゆっくり増えていくといいなぁと思いながらゴンドラの駅に向かった。

photo15クガイソウに蝶が集まる
クガイソウに蝶が集まる

photo16コマクサ
コマクサ




  • Gold-ArtBox Home