⬆︎Top 

642
ミスミソウに会う大峰山828m(長野県)

2026年3月18日(月)


photo小鳥がいる
小鳥がいる

3月も半ばを過ぎたので、そろそろミスミソウが咲くかもしれないと、久しぶりに歌ヶ丘コースを歩いてみることにした。

大峰沢の上の畑はちょっと荒れた感じだ。見下ろす沢にはクズやアレチウリ、ヤブガラシなどの蔓植物が一面に広がったマント状になって枯れている。この勢いでまた緑になって行くのだろう。小鳥にとっては良い隠れ場になるのか、にぎやかな声がしている。

photo2ミチタネツケバナ
ミチタネツケバナ(アブラナ科)

歌ヶ丘コースを登り始める。期待していたダンコウバイの花は微かに黄色がかっているが、まだ開花というには寂しい。今年は雪が少なかったからか、落ち葉がカサカサと乾いている。雪に押されて土にしっかり馴染んでいると歩きやすいのだが。乾き切ってガサガサしている落ち葉の道は足が潜って面白いけれど、案外歩きにくい。

photo3咲きそうなダンコウバイ
今にも咲きそうなダンコウバイ

photoちょっと荒れた森
ちょっと荒れた森

日当たりではホトケノザとヒメオドリコソウのピンク、ハコベとミチタネツケバナの白、オオイヌノフグリの青が春の錦を織りなしている。ゆっくり山道を登り始める。久しぶりの道はどこか荒れた感じがする。たくさんのアカマツが伐採され、山がスカスカしているからか。松枯れ病は相変わらず増えているのか、ビニールをかぶった燻蒸の山がいくつも見えている。今年になってからの新しいものも見られる。

木も草も春だね

photoブナ
ブナ(ブナ科)

photoツツジ仲間
ツツジ仲間(ツツジ科)

photoフデリンドウ
フデリンドウ(リンドウ科)

photoショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ(メランチウム科)

photo6フキノトウが出てきた
フキノトウが出てきた

健全な森や里山を維持していくのは大変なことだと思う。「自然保護」と言うとすぐ落ち葉一枚取ってはいけないと叫ぶ人がいる。人間が関わらない究極の自然の姿を望むなら確かに正しい。だが里山のように人間が耕し、切り払い、手入れしてきた森を美しく保つには、やはり人間の手は必要になる。落ち葉を拾ったり、藪を払ったり、ときには下草を刈ったり・・・。自然公園や、植物園などは管理する人がいて手入れされている。いかにも自然の風情を保ちながら。大峰山の斜面には落ち葉が積もり積もって、ショウジョウバカマの葉がほとんど隠れてしまっている。この下から花穂を立ち上げて咲くのはすごいと思うが、あまり落ち葉の層が厚くなると枯れてしまうのではないかと心配だ。最近ショウジョウバカマがずいぶん少なくなった気がする。

そういえばこの道を初めて歩いたときに感動したシュンランはほとんど見られなくなってしまった。歩く道々これでもかと言うほどにシュンランが咲き競っていたのに。数年前からすっかり数が減ってしまった。

photo7まるで枯葉にしか見えない蝶
まるで枯葉にしか見えない蝶

山頂近くなったところで、後ろから女性が追いついてきた。「あ」と、お互いに顔を見合わせてニコニコ。裏山で時々会う花が大好きという女性だ。しばらく花の話をして別れたが、彼女は見つけたシュンランが数日後に無くなったという経験をしたそうで、「あれは盗掘ですよ」と怒っていた。私たちもミスミソウが掘られた穴、ウメガサソウの大きな株が取られた穴を見つけたことがある。蛇さんもよく見るから、もっと出てきて盗掘する人間をおどかしてくれれば良いのに・・・などと良からぬことを思ってしまう。

さて、山頂の四阿で一息。お煎餅をボリボリ齧りながらのんびりする。近い裏山は時間をたっぷり使えるから嬉しい。山の中でのんびり過ごすのは例えようのない幸せな時間だ。

photo8もうすぐ山頂だ
もうすぐ山頂だ

photo9大峰山山頂で
大峰山山頂で

ツノハシバミの芽を見たり、ブナの芽を見たり、サクラの芽も膨らんできたと喜ぶ。足元にはフユノハナワラビの葉だけがぽつりぽつりと残っている。胞子を飛ばして後は眠りに入るのだろう。

photo10ミスミソウが咲いてる
ミスミソウが咲いてる

楽しみにしてきたミスミソウはたくさん咲いていた。急な斜面の下まで広がっていて、危ないので近寄れないけれど、眺めるだけで嬉しい。道の近くにも真っ白に開いている。なんという愛らしい姿だろう。キッパリと一重で純白の花びら(に見えるが実は萼片)、中央に可愛らしい赤紫の葯が見事だ。 同じキンポウゲ科のセツブンソウとちょっと似た構造だが、ミスミソウの花弁は退化してしまったらしい。純白の花がほとんどだが、ここではちょっと花が小さめなピンク色がかったものも見られる。そう思って探したが、まだ開ききっていないものしか見つけられなかった。

photo11ミスミソウ(キンポウゲ科)
ミスミソウ(キンポウゲ科)

photo12全体が白っぽいミスミソウ
全体が白っぽいミスミソウ

photo13淡いピンクのミスミソウ
淡いピンクのミスミソウ

もう一つの楽しみはコシノカンアオイ、こちらも咲いていた。だが周辺はだいぶ荒れているのでいつまで咲いてくれるのか不安だ。

photo14コシノカンアオイ(ウマノスズクサ科)
コシノカンアオイ(ウマノスズクサ科)

photo15開き始めのコシノカンアオイ
開き始めのコシノカンアオイ

人の手が入らずに山が荒れて行くと幽霊森が広がって、小さな草花は絶えてしまう。崖から崩れ落ちてしまった花株や、猪に掘り起こされてしまった花株、人に踏まれる登山道に芽を出してしまった木や、伸びてきて折られる運命の枝など、他の場所に植え替えたり、挿し木で復活させたり、楽しみ半分で試みてはいるが、知識がないのでこれでいいのかわからないことも多い。 大きな自然の中に立っているとなんとちっぽけな自分だろうと思う。それでも花を見つけながらゆっくり歩く楽しみがあるのはありがたい。

photo16アキノギンリョウソウ(ツツジ科)実
アキノギンリョウソウ(ツツジ科)実




  • Gold-ArtBox Home