11月後半になって何回も地附山に登った。朝のうち雨音がしていても8時を過ぎる頃にはあがって日がさしてくる。ヤッターとばかりに山歩きの準備をする。
毎日同じところを歩いていてもつまらないだろうとは歩かない人の感想、歩いてみれば自然の奥深さにただただ感動するばかり。何か用があって行けないと、なんとも寂しいような残念なような気がする。
24日、日が登るのを待つようにどちらからともなく準備を始めていた。地附山公園は勤労感謝の日を最後に冬季休業に入るので駒弓神社から歩く。一面に落ち葉が散り敷く道をゆっくり登っていく。道の脇に続くヤマツツジは枝先に小さな緑濃い葉を開き始めている。冬を越す夏葉だ。春に出て役目を終えた大きな春葉は黄色くなってひらりと落ちていく。
足元に緑色の落ち葉が目立つので見上げると、緑濃い葉を茂らせているハンノキの枝が広がっている。
山頂に着くと、飯縄山、黒姫山、妙高山が並んで見えているが、妙高の上には黒っぽい雲がかぶさっている。雪雲かなぁと言いながら眺めていた。
用があった2日おいた27日、夫がどこか他の山へ行こうかというのを「今日は地附山の日」と制して、「理由はないけどそんな気分」と地附山に向かう。久しぶりに金毘羅宮に寄り道してから山頂に上がる。
ポカポカ暖かいくらいの山頂から白くなった妙高山を眺めての帰り道、向こうから来た男女に声をかけられた。どことなく覚えている、ご夫婦。一年前地附山スキー場跡でセンブリを探していた人たちだ(※山歩き・花の旅520)。とても素敵なご夫婦で、確かヤッコソウの話をした。「ヤッコソウに会えました?」と聞くと、弾けるような笑顔で写真を見せてくれた。花好きな仲間の常でついつい話が弾んでしまったが、私たちは帰り道、彼らはこれから大峰山まで行くという。また会えるといいですねと挨拶して別れた。
写真掲載の了承を得ています
歩き出すと向こうからスーさんがやってきて、「昨日、若い女性3人組に会ったよ」と言う。え?なんの話?「東京から来て、タクシーでこの下まで来たと言ってたよ」と言われても分からない。その3人は我が家のHPの写真を持っていたそうで、「この人たちに会えたらいいと思って来たと言ってたよ」とスーさん。
思い出した。今年の5月、地附山山頂で3人の女性グループに会った。明るくて楽しそうな笑顔を思い出す。初めてのトレッキングだと言うので少しでも参考になればと、HPを紹介したのだった(※山歩き・花の旅559)。
「よく会うと言ったら、よろしく伝えてと頼まれた」とスーさん。あら、それは残念なことをした。私も会いたかったなぁ。
でも我が家のHPが、少しでも楽しい山歩きに貢献できたのなら、こんなに嬉しいことはない。またきっとどこかで会えるだろう。
やっぱり今日は地附山の日だったねと二人で顔を見合わせながら家に向かった。
翌28日は起きたら雨。さすがに今日はお休みかな、しかも午後は会議で出かけなければならない。がっかりしたようなちょっぴりホッとしたような気分で洗濯を済ませたら、晴れてきた。これは行きなさいということでしょうと呟きながら山靴を履く。夫は午前から用があるので、登山口まで送ってくれる。車から降りたら、バサバサッと大きな音をさせて鳥が飛び立った。少し離れたリンゴ畑に降りて「ケンケンケーン」と、怒っているようだ。キジ、ゆっくり見たかったな。「いじめたりしないからのんびりしていればいいのに」と言っても伝わらないね。
木の実や冬芽を楽しみながら山頂へ。降るように落ちてくる落ち葉が積もって足元はふかふか。そんな中に綺麗な緑が隠れている。冬の間も緑でじっと春を待つ草に「頑張って」と挨拶しながら歩く。朝の雨が嘘のように青空が広がった。
29日、朝から行く気満々の二人。土曜だから人が多いかもしれない、早めに登ってこようと、8時を待って出かけた。パワーポイントに着いた頃、後ろから軽装の人たちが何人もやってくる。あれ、小さなゼッケンをつけているよ。トレイルランニングの大会みたいだ。
北の空を見ると、雪雲がかかり、飯縄山の斜面はうっすらと白くなっている。志賀のスキー場は営業開始したそうだ。いよいよ冬到来か。
狭い道でランナーとすれ違うのを避けて、公園に降りることにした。農家の朝採りリンゴをいくつか買って足が軽い。リュックは重くなったけれど。